初めての遺産相続———押さえておきたいポイントは?
倉敷市の地域密着の不動産会社「正直不動産」は、行政書士の資格を活かし、相続のご相談も承っております。
相続は人生で何度も経験することではなく、場合によっては大きなお金が動くため、親族間のトラブルに発展することも少なくありません。無用なトラブルを避けるためは、相続に関する知識を身につけることが大切です。
こちらでは、相続専門の行政書士である代表が、「初めての相続」で押さえておきたいポイントをご紹介します。
相続に必要な手続きや書類
金融関係の相続手続きに必要な書類
- 被相続人の戸籍謄本・住民票
- 相続人の戸籍謄本・住民票
- 遺産分割協議書
- 相続人の印鑑証明書
- 相続関係説明図
- 金融機関の書類
不動産の相続手続きに必要な書類
- 被相続人の戸籍謄本・住民票
- 相続人の戸籍謄本・住民票
- 遺産分割協議書
- 相続人の印鑑証明書
- 不動産関係書類
- 委任状(司法書士などに依頼する場合)
相続税の手続きに必要な書類
- 被相続人の戸籍謄本・住民票
- 相続人の戸籍謄本・住民票
- 相続人の戸籍の附票
- 相続人の印鑑証明書
- 不動産関係書類
- 有価証券関係書類
- 預貯金関係書類
- 生命保険関係書類
- 債務・葬式関係書類
ケース別の必要書類
被相続人が1人or法定相続分で相続する場合
- 不動産の登記事項証明書
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 被相続人の除住民票もしくは戸籍の除附票
- 法定相続人の戸籍謄本
- 法定相続人の住民票もしくは戸籍の附票
- 不動産の固定資産評価証明書
- 相続関係説明図
遺産分割協議で相続割合を決めた場合
- 不動産の登記事項証明書
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 被相続人の除住民票もしくは戸籍の除附票
- 法定相続人の戸籍謄本
- 法定相続人の住民票もしくは戸籍の附票
- 法定相続人全員の印鑑証明書
- 不動産の固定資産評価証明書
- 遺産分割協議書(実印で押印必要)
- 相続関係説明図
相続の費用・税金
故人の遺産を相続すると、受け取った財産に対して相続税が課せられる場合があります。
厳密には、遺産の受取には「相続」「遺贈」「死因贈与」の3パターンがあり、相続税を計算する際に留意すべき点が異なります。相続税の計算にはややこしい部分も多いため、まずはおおまかな計算方法を把握しておくのがおすすめです。
相続税は、所得税などと同じように「超過累進税率」を用いて計算されます。超過累進税率とは、簡単にいうと「よりたくさんの資産を持つ人に、より多くの税金を払ってもらう」という仕組みです。
しかし、税金の計算にはさまざまな要素が複雑に絡み合うため、「金額×税率」と簡単に計算することはできません。下記の表では、相続税のおおまかな金額を素早く計算できますのでご参考ください。
法定相続分に応じて取得した金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
例えば2,000万円の遺産を相続した場合、税率は15%、控除額は50万円ということになります。計算すると、相続税額は以下のとおりです。
【2,000万円×15%-50万円=350万円】
ただし、実際の相続税の計算では、法定相続人の人数やその他の控除などさまざまな要因を考慮する必要があります。上記の早見表で計算できる金額は、あくまで目安とお考えください。
check1 相続対策のタイミング
相続が発生するのは、被相続人が亡くなったあと。被相続人が健在のうちは「まだ先のこと」「縁起でもない」という意識が働き、相続について考えることがなかなか難しいものです。
しかし、不慮の事故や病などにより、ご本人の判断能力や認知機能が突如として低下してしまう恐れは十分あります。ご本人の意思を伝える・確認するタイミングを逃さないよう、相続対策を始めるのは「元気なうちに」が鉄則! なるべく早期に相続対策を進めることは、遺された家族の負担を軽減することにもつながります。
生前の相続対策として有効なのが、相続対象の財産を生前に贈与しておく「生前贈与」です。生前に財産をいくらか分け与えておくことで、相続税の課税対象となる財産を減らすことができます。
なお、場合によっては、生前贈与に「贈与税」が課せられることも。贈与税には「年間110万円の基礎控除」があるため、1年間の(1月1日~12月31日)上限を110万円として少しずつ生前贈与を行なえば、贈与税の負担を軽減できます。ただし、税金対策のために分割贈与しているとみなされると、税務署から指摘を受ける恐れがあるため注意が必要です。
生前贈与を行なう場合は、以下のような点にも留意しましょう。
- 相続開始前3年以内(7年に変更予定)の贈与には相続税が課せられる
- 婚姻期間が20年以上ある夫婦における居住用不動産の贈与は、遺産分割の対象外
死期が迫ってから慌てて生前贈与をしようと思っても、被相続人が亡くなる3年以内(7年に変更予定)の贈与は「相続財産」としてみなされます。遺族の負担を軽減するためにも、早め早めの対策が肝心です。
check2 遺言書作成のタイミング
遺言書を作成する時期について、法律上の取り決めはありません。15歳以上であれば誰でも作成できるため、子どもが独立したときや定年退職など「遺言書を作成したい」と思ったときこそが良いタイミングです。
ただし、遺言書の内容を有効にするためには、作成者が遺言能力を有している必要があります。認知症などにより認知機能や判断力が低下している場合、有効な遺言書を作成できない恐れがあるでしょう。
自分の意思をしっかり遺すためにも、遺言書は早めに作成しておくことが重要です。あとから遺言を撤回したり、修正したりすることは何度でも可能なため、まずは自分の希望を整理するところから始めてみましょう。
遺言書作成は早い方が良い! 年齢層別の遺言作成理由の具体例
10代、20代 |
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30代、40代 |
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50代 |
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60代 |
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70代 |
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80代 |
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90代 |
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親族間での話し合いが重要
相続トラブルを避けるためには、親族間でしっかり話し合いをしておくことが大切です。
しかし、被相続人が健在のうちに親族間で相続についての話し合いをしている家庭は、ごくわずかです。日本財団の調査によると、「生前に相続の準備を進めていなかった」と回答した人の割合は8割にものぼります。
相続が発生するのは被相続人の死後なので、生前に相続の話をすると「縁起でもない」「財産を狙っているのか」と一蹴されてしまうケースもあるといいます。また、お子様側が遠慮してしまい、親御様に相続の話を持ちかけられない場合も多いでしょう。
しかし、生前に相続について話し合っておかないと、親御様の死後に親族間でトラブルが発生するリスクが高まります。資産状況も把握できないため、死後、遺された家族の負担が増してしまいます。相続においては、親と子の考え方が異なる場合も多いもの。故人の意思を尊重するためにも、遺された家族のためにも、生前にしっかり話し合いの場を設けておきましょう。
お悩み相談解決・ケース事例
ケース1:親の死後、兄弟が預貯金を勝手に使い込んでいた
お父様の死後、兄弟の1人が遺産の一部を勝手に使い込んでいたというご相談がありました。金融機関に連絡して口座凍結をするまえに、兄弟の1人が預貯金を勝手に引き出していたとのことで、大変ご立腹の様子でした。
この件では親族間の話し合いはすでに済んでおり、兄弟からの謝罪もあったとのことでした。
そこで、当社としては「遺産分割の際に、使い込んでしまった分を差し引く」という方法をご提案しました。口座の履歴から使い込んだ金額が明らかになれば、その分の遺産を差し引くことで公平性を保つことができます。
ことが裁判にまで発展すれば、兄弟の関係に修復不可能なほどのダメージが与えられる危険性も否めません。最終的には無事、和解されたとのことで、私もほっと胸をなでおろしました。
ケース2: 親族の1人が、法定相続分より多くの遺産を要求してくる
故人の兄であり、相談者様の叔父にあたる方が、決められた法定相続分より多くの遺産を要求してきて困っているというご相談でした。親族間で何度も話し合いを重ねてきたものの、「自分にはそれだけの権利がある」の一点張りで、聞き耳を持ってもらえないとのことでした。
相続税の申告・納付には期限が決められているため、これ以上話し合いが難航すると税法上のペナルティが課せられてしまう状況でした。これまでの経緯をお聞きした結果、当事者間でトラブルを解消することは難しいと考え、私が提携する弁護士を紹介させていただくことにいたしました。
結果的に、弁護士からの連絡があったことでお相手の態度は軟化していったとのことでした。行政書士資格を持つ私と弁護士の専門家チームが連携することで、早期解決に導くことができました。