2025.08.08
相続の遺産の範囲の確定〜相続円満相談室の知識〜
相続円満相談室からお客様への知識として、正しい知識をお伝えさせていただきます。 遺産の範囲の確定とは、相続の対象となる財産を特定し、その価額を評価することを意味します。 相続の対象となる財産(=相続財産)とは、いわゆる相続開始時における遺産 (=相続開始時の遺産)のことであり、その範囲は民法896条に定める包括承継に関わる事項です。 同条は「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」 と規定しているので、包括承継の対象は、被相続人の財産に属した一切の権利義務のうち一身専属のものを除いた残りであり、それが相続財産となります。 ここに一身専属のものとは、被相続人にだけ帰属し相続人に帰属できない性質の権利義務 (=帰属上の一身専属権)をいいます。 例えば ・生活保護法に基づく生活保護受給権や公営住宅の使用。 ・使用貸借契約における主の地位代理における本人・代理人の地位。 ・保証契約による身保証債務(その契約から発生した具体的な債務は除く) などがその例です。 これらは相続の対象とはされていないので相続財産には含まれていません。 相続の開始によって承継した相続財産を前提として、遺産分割時において、その対象となる財産を絞り込みます。 簡単にいうと、遺産分割の対象となる財産(= 「分割適格財産」など)は、相続人全員での共有となっている土地などの「不可分物」である。これに対して、可分債権・債務である銀行預金や住宅ローンなどのいわゆる「多数当事者の償権・債務 」(427条)は 、相続開始によって当然に分割され相続人に帰属することになるので、その性質上、遺産分割の対象とはなりません。 また、遺産分割は現に存在している遺産を分けるための手続ですから、被相続人の生前に存在したが今はないもの、あるいは遺言により第三者や相続人に遺贈されたものは分割の対象とはなりません。 さらに、被相続人に帰属するかどうかもわからないものは分割のしようがありません。 このように、相続の対象となる財産には、遺産分割の対象となる財産とならない財産が含まれています。 相続分算定の最終目的が遺産分割にあるとするのであれば、遺産は遺産分割の対象となる財産だけでいいと考えればよいかもしれませんが、相続分算定の基礎資料となる財産は相続開始時の遺産であり、それに基づいて次の相続分(本来的相続分・具体的相続分)が確定されるいるので、遺産分割の対象となるか否かを問わず、相続開始時に存在する換価性のある財産を広く扱わなければない理由がそこにある。 そこで、本章では、遺産の範囲として相続開始時の遺産を取り上げ、遺産分割の対象となるものについては適宜その旨を指摘していくことになります。 今日はここまで!