2025.07.08
再転相続人ってなに? 〜相続円満の知識〜
相続円満相談室からお客様への知識として、正しい知識をお伝えさせていただきます。 相続は、人が亡くなるタイミングによってどうなるか分からなくなることがあります。 今回は再転相続についての事例をお伝えしたいと思います。 ー再転相続人とはー 被相続人が死亡し、Hの相続(第1次相続)が開始した後、その遺産分割が完了する前に、Hの相続人であるAも死亡した場合において、Aの相続人であるaがAの相続(第2次相続)に対する選択権(承認・放棄の権利)を取得すると同時に、Hの相続に対する選択権も承継取得することを「再転相続」といいます。 これは、被相続人が死亡する前に、Hの推定相続人であるAが死亡していた場合において、当該推定相続人Aの相続人であるaがAのHに対する相続権を承継して、当初のHの遺産を相続するという「代襲相続」と区別するために用いられる講学上の用語です。 なお、この再転相続においても、第1次相続であるHの相続を「本位相続」とよぶことがあります。 再転相続のうち、Hの相続人であるAがHの相続の熟慮期間(3か月)内に放棄も承認もせずに死亡してAの相続が開始された場合を「狭義の再転相続」(あるいは「純転相続」、「純粋の再転相続」)といい、これに対し、Hの相続人であるAがHの相続を承認した後に死亡してAの相続が開始された場合を「広義の再転相続」と言います。 ー狭義・広義の再転相続の共通点と相達点ー 両者に共通する点は2つあります。 まず1つ目は、aが祖父Hを相続する権限は父Aに由来するとい うことです。 したがって、いずれの場合も父Aが先に相続放棄をすると由来が切断されてしまうので、aはHの相続人とはなり えない。 2つ目は、再転相続人となった以上、aはHの遺産分割の当事者適格を有する者になるということになります。 両者の相違点としては、狭義の再転相続におけるaは、父Aを経 由することなく、a固有の選択権の行使によって直接的にHの相続人として扱われますが (この点では代襲相続の構造に類似しています)、広義の再転相続におけるaは、父Aの地位を承継した、つまりHを相続したAを相続することによって間接的にHの相続人として扱われることです。 この相違によって、例えば、再転相続人となった者が保存行為として相続登記をする場合、狭義の再転相続では 1個の移転登記(H →a)で済むところ、広義の再転相続では2個の移転登記(H→A 、A→a)が必要になるなど、手続面での扱いが異なってくることがあります。 ー相続人資格の重複ー 「相続人資格の重複」とは、1人の自然人に相続人としての資格が複数帰属することです。 このような親族関係の重複は、多くの場合養子縁組がか らむことから発生します。 親族関係が重複する場合、一般的には、各別の親族関係が他方の親族関係を排除する旨の規定がない限りそれぞれ固有の効果を保有し、他方の親族関係に吸収又は排除されることはないと解されています。 養子がからむ典型的な例は、次のとおりである (いずれも相続人として、資格重複者のほかに共同相続人がいるものとします)。 (1)養子と代襲相続人の重複(いわゆる孫養子) Hがその子亡Bの孫bを養子にしていた場合の、bの地位(日の養子としてのb=Bの代襲相続人としてのb)。 (2)養子と配 相続人の重複 (いわゆる婿養子) Hの亡直系尊属が日の配偶者Wを養女にしていた場合の、Wの地位(Hの素としてのW=Hの妹としてのW。 (3)非嫡出子を養子にした場合 Hが認知した子Bを養子にした場合の、Bの地位(日の非嫡出子としてのB 本 日の嫡出子としてのB)。 【事例ー養子と代襲相続人の重複 (いわゆる孫養子)】 被相続人には子A、Bがおり、亡Bにはその子bがいます。祖父にあたるHが孫b を養子とした後、Hが死亡しました。bは、Bの子として代襲相続人になるのと同時に、Hの養子としての本位相続人にもなります。このとき、bは2口分の相続ができるのか? 【答え】 祖父が孫を養子にする場合には、祖父と孫の関係という自然血縁関係があるうえに養親と養子の関係とい う法定血族関係が重複して発生します。 1人が二重に相続権をもつべきではないという考え方もあるが、2口分の相続を認めるのが妥当 です。 身分関係が重複することを民法が認めている以上、相続権が重複することを認めるのが自然です。 もしBがHより長生きしていれば、bは結果的に2口分の相続ができたことから、共同相続人Aとしても、Bが生きていればHの相続人はA、B、bの3人となることはわか っていたはずです。 「偶然の事情による利益 ・不利益はできるだけ避けるべし」という相続法の基本原理からすれば、2口分の相続を認めてもいいです。戸籍先例も、この孫養子については、2口分の相続を認めています。 以上のことから、相続人は実子AとB(代襲者b)のほかに養子bも該当することとなり、それぞれの相続分は均等の1/3ずつとなります。 結局、上はBの代襲相続人としての1/3のほかに、本位相続人(子)としての1/3を取得し。その相分の合計は2/3となります。 【事例ー養子と配偶相続人の重複(いわゆる婿養子)】 被相続人が死亡し、相続人はHの妻WとHの兄Aです。ところが、Hの妻WはHの亡両親の養女になっていました。この場合、WはHの姉妹という立場でも相続できるのでしょうか? 配偶者の一方が他方の父母の養子になっていた場合の事例です。配偶者という婚姻関係がある上に、兄弟姉妹という法定血族関係が重畳的に並存することとなります。 戸籍先例は、配偶者としての相続資格しか認めない(昭23・8・9民事甲 2371号民事局長回答)。ただし、学説は分かれており、民法上排斥しあう関係にはない資格であるから、2口分の相続を認めてよいとする説もあります。 設例の場合、2口分の相続分を認める考え方からは、Hの妻としてのWの相続分は3/4 、Hの兄としてのAの相続分は1/8(←1/4✕1/2)、Hの 妹としてのWの相続分は1/8(←1/4✕1/2)となります。よって、Wの相続分の合計は3/4+1/8= 7/8, Aの相続分は1/8 となります。 戸籍先例によれば、Wは配偶者としての相続資格しか認められないので3/4。 兄Aは1/4となります。 【事例ー非嫡出子を養子にした場合】 被相続人Hは、配偶者Wとその間にできた子Aを有していたが、婚姻外に子Bをもうけ、これを認知したうえ養子とした(民法795条によりH、Wの共同縁組)。Hが死亡した場合、BはHの非嫡出子であると同時に嫡出子たる養子としての二重資格で相続ができるのだろうか? 【答え】 BはHと養子縁組を結ぶことによってHの嫡出子となる結果、Hの非嫡出子たる身分は消滅することとなります。摘出子と非嫡出子という身分関係の重複はそもそも生じません。 よって、設例の場合、BはHの養子(嫡出子)の立場でのみ相続できるだけとなります。 今日はここまで! 相続円満相談室の相続の基礎情報でした。 相続の現場からは以上でーす!